先日、新任職員フォローアップ研修を担当させていただきました。
私もとても悩みましたが…
新人さん、入ってから試行錯誤をしながらもがいていますよね。
子どもとのやり取りにも、
先輩とのやり取りにも悩ましいところがいろいろあるようです。
「何をどう聞いていいのか、わからない」
「聞いて、と言われても イライラしているのを感じると聞けない・・・。」
「質問したら、自分で考えるところでしょう、と言われてしまった。」
~など、声が聞こえていました。
じつは、新人さんなりに考えたものの分からず、
気を遣いながら質問をしているのですが、
先輩からしてみると「そこは自分で考えるところでしょ?」
とイラッとされてしまい、どうしていいのかわからないこともあるようです。
そんな時は、たとえば
「自分ではこう思うのですが、これだと保護者に嫌な印象を与えてしまいそうで・・・
先輩なら、どんなふうに伝えますか?」
~というように、自分なりの考えを合わせて伝えていくと
先輩も受け止めてアドバイスをしやすくなるかもしれませんよ、とお話したところ
安心していたようでした。
他にも、「先生が優しすぎるから子どもが先生の方にばっかり行ってしまう」と言われたケースがあり
~おそらくそれは、何でもかんでも子どもを受け入れるのではなく、
気持を受け入れるべきところと
しつけの場面・保育の事情から今はできない場面であるなどの
対応のメリハリのことをおっしゃっているのでは?というように先輩の通訳をしてみたところ
メモを取っている人が何人かいました。
こんな風に、先輩側の意図が上手く伝わっていないことで
新人さんが誤解をしてしまったり、
やりづらさを感じてしまうところが処々あるのかもしれませんね。
時に立ち止まり、フォローアップの機会として気持ちを受け止めていくこと・
悩みを打ち明け合うこと・ヒントを見つけること・
やり方を体感していくことがその後を左右していくのではないかと感じます。
また、各園の園長先生からのリクエストもあり、
悩んでしまう新人さんが抱え込まずに自分から声をかけていけるように
実践ワークを考えてみました。
よかったら、法人内で新人さんフォロー研修などをするときに
ワークの参考にしてみてくださいね!
(名称を変えてみる、設定を変えてみるなどして)
≪レジュメより抜粋≫
4.人間関係・連携が良くなるコミュニケーション
●保育者の嬉しい気持ちが増えると、保育はどんどんやりやすくなる
<日常の中で>
- おはようございます
- おつかれさまです
- 失礼いたします
- いま、ちょっと抜けても大丈夫ですか?
- お先に失礼いたします
- お先にどうぞ
<振休・有給の翌日に>
- お休みありがとうございました
- 昨日、どうでしたか?
<手伝ってもらった後に>
- ありがとうございました
- あの時はどうもありがとうございました
<気持ちを伝える>
- 手伝ってもらえてうれしかったです
- じつは~だったので、助かりました
- 心強かったです
<行事の翌日に>
- 昨日はおつかれさまでした。
(ポジティブな話題)でしたね!
【ワーク*役になり切ってみましょう】
Aさん:先輩役
昨日は激しい一日だった・・・。
B先生はお休みだったけど、
なぜか子どもはざわざわしているし、こういう日に限って
保護者からの問い合わせも続出して
フリーの先生が入ってくれていたけど、
嵐の一日の余韻で頭がボーっとするわ。
Bさん:後輩役
昨日は土曜振休で平日のディズニーを満喫してきた!
やっぱりお休みって大事。あ~、楽しかった!!
Cさん:オブザーバー
二人のやり取りを見ていて、感じたこと・
「こうしてみたらいいのでは?」と感じたこと・
アドバイスを後で伝える
A先輩:嵐の前日(遅番)の余韻が残りつつ、早番で出勤
頭がボーっとする中で、
後から出勤してきたB先生を迎える
Bさん:「おはようございます」
~その後のやりとりは?
(×:昨日のディズニーランドでの出来事を思い出して
仕事モードに切り替えができずにいる
○: 休んでいた間の情報をキャッチアップし、
子どもや保護者への対応に備えていきたい)
【振り返り】
~気づいたこと・感じたこと・覚えておきたいこと
=====
●心をつなぐ「伝え方」
【ポイント】 相手を尊重し、協力を得ていく
<クッション言葉で心をつなぐ>
- お時間よろしいですか?
- お忙しいところ、失礼します
- 教えていただきたいのですが
- 上手く伝えられず、ごめんなさい
<リクエスト>
私からのリクエストなんですが
お願いできますか?
助けていただけますか?
していただけるとありがたいです
力を貸していただきたいのですが
声の高さ・ニュアンスを活用して気持ちを表現する
相手によって、シチュエーションによって
<声の高さ> <ニュアンス>
・高く ・楽しそう
・低く ・嬉しそう
・悲しそう
<声の大きさ>
・大きく ・感謝を込めて
・控えめ ・申し訳なさそう
・小さく
・そっと・・・
【役になり切ってみましょう】
Aさん:先輩役
後輩に少しずつ仕事を任せ、
自信をつけていい先生になってほしいと思っている
Bさん:後輩役
苦手だけれども、リーダーをする日。
全体に声掛けをしながら、口拭きを絞ってもらうなど、
雑務を進めていきたい。けれども、自分からは言いにくい・・・
Cさん:オブザーバー
二人のやり取りを見ていて、感じたこと・
「こうしてみたらいいのでは?」と感じたこと・アドバイス
【やってみましょう】
A先輩:今日はリーダーのB先生を支えよう!
(目の前の子どもたちとかかわりながら)
何かあったら、いつでもサポートするし、どんどんチャレンジして
リーダーをする力をつけていってほしい。
困ったら、声を掛けてくれたらいつでも動けるよ!!
B先生:今日は自分がリーダーの日・・・。 どうしよう・・・。
子どもを見るので手一杯だけど、そろそろお片付けの時間だな。
今の時間のうちに口拭きを絞っておかないとだよね。
えっと・・・泣いてる子がいるけど、そっちにかかわると
口拭きの準備ができないし・・・。先輩に頼むの、
ハードル高いなぁ・・・。 自分でやってからの方がいいかなぁ・・・。
*どうコミュニケーションしますか?
【振り返り~気づいたこと・感じたこと・覚えておきたいこと】
5.日常業務が進みやすくなる、コミュニケーションの工夫
- 上司・同僚・後輩とが力を合わせて「子どものために」仕事を進める
自分に与えられた仕事を一通り行うことができる
・日々の保育・業務・シフト・子どもや保護者へのかかわり・掃除・書類
職場の「チームワーク」が良くなるよう、配慮が必要
(自分だけが分かっていても、周りに伝わらないと混乱が起こる)
・理解できたことは 「○○ということが分かりました」
と相手に伝え、相手に意思表示する
・よくわからなかったことは「~とはどういうことですか?」と確認
・進捗状況「いまこういう状況です」と伝え、全体で共有する
【仕事の覚え方】
・指示を受けたら
×ふーん、と思いながらも良くわからないのでそのままにする
○ 状況を見て「今始めても大丈夫ですか?」など
コミュニケーションを図り、すぐに行動する
・自分から動く
× 何も言われないから、指示してくれるのを待つ
~待っている間に時間は流れ状況は変わっていく
○ 考えて、行動する
~今、この場面で何が必要か?何ができるだろうか?
・分からないことは?
× そのままにしてしまう、自分の解釈で置いておく
○ 自分が理解できるように質問し、
~納得して自分のできることを増やしていく
【なりきってみましょう】
Aさん:先輩役
昨年の高尾山親子遠足が好評で、
今年もリクエストが上がっているため昨年同様に
職員間で分担しながら準備を進めていきたい。
今までも何度か話をしてきたので今回は当日の動きを共有したい
Bさん:後輩役
遠足については、会議や話し合いで耳にしてはいるけれども
初めてのことが多く、イメージが湧かない。
「分からないことがあったら聞いて」と
いわれてもどこまでどう聞いたらいいのかわからない
Cさん:オブザーバー
二人のやり取りを見ていて、感じたこと・「こうしてみたらいい
のでは?」と感じたこと・ アドバイスを後で伝える
【やってみましょう:遠足の説明を受ける場面】
A先輩: B先生には、3歳児のクラスを持ってもらっているので
保護者に説明をしてもらうため、昨年のやり方などを伝えている
「先生、来週の高尾山なんだけど、バスの時間までに
着いたご家庭の点呼と持ち物確認をしておいてもらいたいの。
持ち物はお弁当とリュックとおやつとティッシュとハンカチ
と・・・余分なものは持ってこないように、よろしくね。」
B先生:「はい。(高尾山・・・?行ったことあったかな?どんな感じなんだ
ろう・・・バスってどんな感じなのかな。楽しそうだな。
リュックって・・・? おやつって・・・。 余分なものって・・・?)」
*どんなコミュニケーションがあるといいでしょう?
【振り返り・気づき】
=====
【職場内でのやりとり~ホウレンソウとは】
報告・・・保育に関してやり取りしたこと・起こった出来事・
進めている準備の段階について・気になったことなどを伝える
「~ということがありました」「~となっています」
「ここまで終わっています」など
連絡・・・自分が受けた保護者からのお話・電話の内容などを
クラス内の他の担任やリーダー、主任・園長に伝える
「~の件で、お電話がありました。」
「○○さんから~というお話がありました」
「○○くん、昨日から咳き込みが見られるようです」
相談・・・困っていること・迷うこと・助けてほしいことなどを
言葉に出して尋ねること、アドバイスをもらうこと。
「相談があるんですが・・・今、お時間よろしいですか?」
【なりきってみましょう】
Aさん:先輩役
今日は有給。
やっぱり休みはいいなぁ~!
明日は入れちがいでB先生が有給。
休みの間に、連絡の行き違いなどなければいいのだけれども。
~特に何もなければいいなぁ。
Bさん:後輩役
先輩が休みの今日、正直バタバタしてしんどい一日だった・・・。
ようやく一日が終わる。
そういえば、Dちゃんがヘルペスでお休みって言っていたっけ。
一応、引継ぎとして どこかに残しておこう。
●あなたがBさんなら、どうやって連絡を図りますか?
●あなたがA先輩なら、 どんなふうにしてくれたら 分かりやすいでしょうか? |
【振り返り・気づき】
参加者からは、
「 ひとり一人、困っている声などをピックアップして解決案を出してくれて、とても分かりやすかったです」
「子どもへの声掛けに悩んでいたので、ヒントが見つかって安心しました。」
「先輩に分からないことを聞くのに少し勇気が要るなと思ったのですが、
どんどん積極的に聞くことが大切だと思いました。」
「どう声を掛けたら気持ちよく応えてくれるのかが具体的に学べたので
今後は実践していきたいと思いました。」
「言い方と表情でとても印象が変わることを感じました。」
~といった声が聞こえました。
世の中の新人さんたちが、この時期を乗り越えていけますように!
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